古詩十九之第一首. |
行行重行行、與君生別離。 |
行き行き重ねて行き行く、君と生きて別離す。 |
相去萬餘里、各在天一涯。 |
相去ること萬餘里、各々天の一涯に在り。 |
道路阻且長、會面安可知。 |
道路 阻にして且つ長し、會面 安くんぞ知る可けんや。 |
胡馬依北風、越鳥巣南枝。 |
胡馬 北風に依り、越鳥 南枝に巣くう。 |
相去日已遠、衣帯日已緩。 |
相去りし 日々已に遠く、衣帯は 日々已に緩む。 |
浮雲蔽白日、遊子不顧返。 |
浮雲は 白日を蔽い、遊子は 返り顧ず。 |
思君令人老、歳月忽已晩。 |
君を思い 人をして老いせしむ、歳月 忽ち已に晩れる。 |
棄捐勿復道、努力加餐飯。 |
棄捐 復た道う勿からん、努力し 餐飯を加えよ。 |
古詩十九首 (1) 漢詩<88>U李白に影響を与えた詩520 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1377 |
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古詩十九之第ニ首 |
青青河畔艸、欝欝園中柳。 |
青青 河畔の艸【くさ】、欝欝【うつうつ】たる園中の柳。 |
盈盈楼上女、皎皎当窓庸。 |
盈盈【えいえい】たる 楼上の女、皎皎【こうこう】として窓庸【そうゆう】に当たる。 |
娥娥紅紛粧、繊繊出素手。 |
娥娥【がが】たる紅紛の粧【よそお】い、繊繊【せんせん】として素手【そしゅ】を出す。 |
昔為倡家女、今為蕩子婦。 |
昔は 倡家【しょうか】の女為り、今は 蕩子【とうし】の婦【つま】と為る。 |
蕩子行不帰、空牀難独守。 |
蕩子は行きて帰らず、空牀 独り守ること難し。 |
古詩十九首 (2) 漢詩<89>U李白に影響を与えた詩521 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1380 |
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古詩十九首之第三首 |
青青陵上栢、磊磊?中石。 |
青青たる陵上【りょうじょう】の栢【はく】、磊磊【らいらい】たる?中【かんちゅう】の石。 |
人生大地間、忽如遠行客。 |
人の大地の間に生る、忽ち遠行の客の如し。 |
斗酒相娯楽、聊厚不為薄。 |
斗酒 相い娯楽しみて、聊【しばら】く厚しとして 薄しと為さざらん。 |
駆車策駑馬、遊戯宛與洛。 |
車を駆て 駑馬【どば】に策【むちう】ちて、宛と洛とに遊戯【ゆうぎ】す。 |
洛中何欝欝、冠帯自相索。 |
洛中 何ぞ欝欝【うつうつ】として、冠帯【かんたい】自ら相い索【もと】む。 |
長衢羅夾巷、王侯多第宅。 |
長衢【ちょうく】夾巷【きょうこう】に羅【つら】なり、王侯 第宅【ていたく】多し。 |
両宮遥相望、双闕百余尺。 |
両宮 遥かに相い望む、双闕【そうけつ】百余尺あり。 |
極宴娯心意、戚戚何所迫。 |
宴を極めて 心意を娯【たのし】ましぶれば、戚戚【せきせき】として 何の迫る所ぞ。 |
古詩十九首 (3) 漢詩<90>U李白に影響を与えた詩522 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1383 |
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古詩十九首之第四首 |
今日良宴会、歓楽難具陳。 |
今日の良宴会、歓楽は具【つぶさ】に陳【の】べ難し。 |
弾筝奮逸響、新声妙入神。 |
筝を弾いて逸響【いつきょう】を奮【るる】い、新声 の妙 神に入る。 |
令徳唱高言、識曲聴其真。 |
令徳【れいとく】高言を唱【とな】へば、曲を識りて其の真を聴く。 |
斉心同所願、含意倶未申。 |
心を斉しくして願う所を同じくするも、意を含みて倶【とも】に未だ申べず。 |
人生寄一世、奄忽若飆塵。 |
人生 一世に寄せること、奄忽【えんこつ】として飆塵【ひょうじん】の若し。 |
何不策高足、先拠要路津。 |
何ぞ高足に策【むち】うちて、先づ要路の津に拠らずして。 |
無為守窮賎、轗軻長苦心。 |
無為に窮賎【きゅうせん】を守り、轗軻【かんか】長【とこしな】しえに苦心する。 |
古詩十九首 (4) 漢詩<91>U李白に影響を与えた詩523 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1386 |
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古詩十九首之第五首 |
西北有高樓,上與浮雲齊。 |
西北に高楼有り、上は浮雲と斉し。 |
交疏結綺窗,阿閣三重階。 |
交疏 綺を結ぶ窓、阿閣 三重の階。 |
上有弦歌聲,音響一何悲。 |
上に弦歌の声あり、音響 一に何ぞ悲しき。 |
誰能為此曲?無乃杞梁妻! |
誰が能く此の局を為す、無乃杞梁の妻ならんか。 |
清商隨風發,中曲正徘徊。 |
清商【せいかん】風に随って発し、中曲にいて正に徘徊す。 |
一彈再三嘆,慷慨有餘哀。 |
一たび弾じて再三歎く、慷慨して 余哀有り。 |
不惜歌者苦,但傷知音希, |
歌う者の苦しみを惜しまず、但だ知音の稀なるを傷む。 |
願為雙鴻鵠,奮翅起高飛。 |
願はくは双鳴の鶴と為りて、翅を奮いて起って高飛せんことを。 |
古詩十九首 (5) 漢詩<92>U李白に影響を与えた詩524 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1389 |
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古詩十九首之第六首 |
渉江采芙蓉,蘭澤多芳草。 |
江を渉【わた】りて芙蓉【ふよう】を采る、蘭澤【らんたく】芳草【ほうそう】多し。 |
采之欲遺誰,所思在遠道。 |
之を采りて誰にか遺【おく】らんと欲する、思ふ所は遠道【えんどう】に在り。 |
還顧望舊郷,長路漫浩浩。 |
還【めぐ】り顧【かえりみ】て 旧郷を望めば、長路漫として浩浩たらん。 |
同心而離居,憂傷以終老。 |
同心にして離屈【りきょ】せば、憂傷【ゆうしょう】して以て終に老いなん。 |
古詩十九首 (6) 漢詩<93>U李白に影響を与えた詩525 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1392 |
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古詩十九首之第七首 |
明月皎夜光,促織鳴東壁。 |
明月皎として夜光り、促織【そくしょく】東壁に鳴く。 |
玉衡指孟冬,衆星何歴歴。 |
玉衡【ぎょくこう】孟冬を指し、衆星 何ぞ歴歴たる。 |
白露沾野草,時節忽復易。 |
白露 野草を沾【うるお】し、時節 忽ち復た易【かわ】る |
秋蝉鳴樹間,玄鳥逝安適。 |
秋蝉【しゅうぜん】樹閨yじゅかん】に鳴き、玄烏逝【さ】りて安くにか適【ゆ】く。 |
昔我同門友,高舉振六。 |
昔我が同門の友、高擧して六【りくかく】を振ふ。 |
不念攜手好,棄我如遺跡。 |
手を携へし好【よしみ】を念はず、我を棄つること遺跡の如し。 |
南箕北有鬥,牽牛不負軛。 |
南には箕【き】北には斗有り、牽牛【けんぎゅう】軛【やく】を負はず、 |
良無盤石固,?名復何益? |
良に盤石【ばんじゃく】の固きこと無くんは、虚名【きょめい】復た何の益かあらん。 |
古詩十九首 (7) 漢詩<94>U李白に影響を与えた詩526 漢文委員会 紀頌之の漢詩ブログ1395 |
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古詩十九首之第八首 |
冉冉孤生竹,結根泰山阿。 |
冉冉たる孤生の竹,根を泰山の阿【くま】に結ぶ。 |
與君為新婚,兔絲附女蘿。 |
君と新婚を爲すは、兎絲の女羅に附くなり。 |
兔絲生有時,夫婦會有宜。 |
免絲生ずるに時有り、夫婦会するに宜有り。 |
千里遠結婚,悠悠隔山陂。 |
千里遠く婿を結び、悠悠山陂を隔つ。 |
思君令人老,軒車來何遲! |
君を思へば人をして老いしむ、軒車何ぞ乗ること遲き。 |
傷彼尢哩ヤ,含英揚光輝。 |
傷む彼の恵蘭の花、英を含みて光輝を揚ぐ。 |
過時而不采,將隨秋草萎。 |
時を過ぎて采らずんは、將に秋草の萎むに随はんとするを。 |
君亮執高節,賤妾亦何為! |
君亮に高節を執らば、賤妾亦何をか焉さん。 |
古詩十九首 (8) 漢詩<95>U李白に影響を与えた詩527 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1398 |
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古詩十九首之第九首 |
庭中有奇樹,漉t發華滋。 |
庭中に奇樹【きじゅ】有り、緑葉 華滋【かじゅ】を發【ひら】く。 |
攀條折其榮,將以遺所思。 |
條【えだ】を攀【よ】じて其の栄【はな】を折り、將に以て思ふ所に遺らんとす。 |
馨香盈懷袖,路遠莫致之。 |
馨香【けいこう】懐袖【かいしゅう】に盈【み】つれども、路遠くして之を致す莫し。 |
此物何足貴,但感別經時。 |
此物何ぞ貴ぶに足らんや、但別れて時を経たるに感ずるのみ。 |
古詩十九首 (9) 漢詩<96>U李白に影響を与えた詩528 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1401 |
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古詩十九首之第十首 |
迢迢牽牛星,皎皎河漢女。 |
迢迢【ちょうちょう】たる牽牛星、皎皎【こうこう】たる河漢の女。 |
纖纖擢素手,札札弄機杼。 |
纖纖【せんせん】として素手【そしゅ】を擢【ぬき】んで、札札【さつさつ】として機抒【きちょ】を弄【ろう】す。 |
終日不成章,泣涕零如雨。 |
終日【しゅうじつ】章を成さず、泣涕【きゅうてい】零【お】ちて雨の如し。 |
河漢清且淺,相去復幾許。 |
河漢清くして且つ浅し、相去る復た幾許【いくばく】ぞ。 |
盈盈一水間,脈脈不得語。 |
盈盈【えいえい】たる一水の間、脈脈として語るを得ず。 |
古詩十九首之十 (10) 漢詩<97>U李白に影響を与えた詩529 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1404 |
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古詩十九首之第十一首 |
回車駕言邁,悠悠渉長道。 |
車を廻らして駕して言に邁き、悠悠として長道を渉る。 |
四顧何茫茫,東風搖百草。 |
四顧すれば何ぞ茫茫たる、東風百草を搖【うご】かす。 |
所遇無故物,焉得不速老。 |
遇ふ所 故物無し、焉んぞ速かに老いざるを得んや。 |
盛衰各有時,立身苦不早。 |
盛衰各おの時有り、立身早からざるを苦しむ。 |
人生非金石,豈能長壽考? |
人生は金石に非ず、豈能く長く寿考【じゅこう】ならんや。 |
奄忽隨物化,榮名以為寶。 |
奄忽【えんこつ】として物に隨って化す、栄名【えいめい】以て宝と爲さん。 |
古詩十九首之十一 漢の無名氏(11) 漢詩<98>U李白に影響を与えた詩530 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1407 |
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古詩十九首之第十二首 |
東城高且長,逶?自相屬。 |
東城 高く且つ長く、逶?【いい】として自ら相属す。 |
回風動地起,秋草萋已香B |
廻風地を動かして起り、秋草萋【せい】として以【すで】に緑なり。 |
四時更變化,?暮一何速! |
四時更【こもご】も變化し、歳暮【さいぼ】一に何ぞ速【すみや】かなる。 |
晨風懷苦心,蟋蟀傷局促。 |
晨風【しんふう】苦心を懐【いだ】き、蟋蟀【しつしゅつ】 局促【きょくそく】を傷む。 |
蕩滌放情志,何為自結束! |
蕩滌【とうてき】して情志を放【ほしいまま】にせん、何為【なんす】れぞ自ら結束する。 |
古詩十九首之十二 漢の無名氏(12)-1 漢詩<99-#1>U李白に影響を与えた詩531 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1410 |
燕趙多佳人,美者顏如玉。 |
燕趙佳人多く、美なる者顏【かんばせ】玉の如し。 |
被服羅裳衣,當戸理清曲。 |
羅【うすもの】の裳衣を被服し、戸に当りて清曲を理【おさ】む。 |
音響一何悲!弦急知柱促。 |
音響一に何ぞ悲しき、絃急【げんきゅう】にして柱【ことじ】の促【せま】れるを知る。 |
馳情整巾帶,沈吟聊躑躅。 |
情を馳せて巾帯を整へ、沈吟して聊【しばら】く躑躅【てきちょく】す。 |
思為雙飛燕,銜泥巣君屋。 |
思ふ雙飛燕【ひえん】と為りて、泥を銜んで君が屋に巣くはんことを。 |
古詩十九首之十二 漢の無名氏(12)-2 漢詩<99-#2>U李白に影響を与えた詩532 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1413
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古詩十九首之第十三首 |
驅車上東門,遙望郭北墓。 |
車を上東門に驅【か】り、遙かに郭北【かくほく】の墓を望む。 |
白楊何蕭蕭,松柏夾廣路。 |
白楊 何ぞ蕭蕭【しょうしょう】たる、松柏 廣路【こうろ】を夾【はさ】む。 |
下有陳死人,杳杳即長暮。 |
下に陳死【ちんし】の人有り、杳杳【ようよう】として長暮【ちょうぼ】に即【つ】く。 |
潛寐黄泉下,千載永不寤。 |
黄泉【こうせん】の下に潜【ひそ】み寐【い】ねて、千載長く寤【さ】めず。 |
古詩十九首之十三 漢の無名氏(13)-1 漢詩<100-#1>U李白に影響を与えた詩533 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1416 |
浩浩陰陽移,年命如朝露。 |
浩浩として陰陽移り、年命【ねんめい】朝露の如し。 |
人生忽如寄,壽無金石固。 |
人生忽【こつ】として寄するが如く、寿には金石の固き無し。 |
萬歳更相送,賢聖莫能度。 |
萬歳更【こもご】も相送り、賢聖【けんせい】能く度る莫し。 |
服食求神仙,多為藥所誤。 |
服食して神仙を求むれは、多くは薬の誤る所と為る。 |
不如飲美酒,被服丸與素。 |
如かず美酒を飲みて、丸【がん】と素【そ】とを被服せんには。 |
古詩十九首之十三 漢の無名氏(13)-2 漢詩<100-#2>U李白に影響を与えた詩534 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1419 |
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古詩十九首之第十四首 |
去者日以疏,生者日已親。 |
去る者は日ゝに以て疎く、来る者は日ゝに以て親しむ。 |
出郭門直視,但見丘與墳。 |
郭門を出でて直視すれば、但丘と墳とを見るのみ。 |
古墓犁為田,松柏摧為薪。 |
古墓は犁【す】かれて田と爲り、松柏は摧【くだ】かれて薪と爲る。 |
白楊多悲風,蕭蕭愁殺人! |
白楊【はくよう】悲風多く、蕭蕭として人を愁殺【しゅうさい】す。 |
思還故里閭,欲歸道無因。 |
故の里閭【りりょ】に還らんことを思ひ、歸らんと欲するも道因る無し。 |
古詩十九首之十四 漢の無名氏(14) 漢詩<101>U李白に影響を与えた詩535 漢文委員会紀頌之の漢詩ブログ1422 |
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古詩十九首之第十五首 |
生年不滿百,常懷千?憂。 |
生年は百に満たず、常に千歳の憂を懐く。 |
晝短苦夜長,何不秉燭遊! |
晝は短くして夜の長きに苦しみ、何ぞ燭を秉って遊ばざる。 |
為樂當及時,何能待來茲? |
欒しみを為すほ常に時に及ぶべし、何ぞ能く來茲【らいし】を待たん。 |
愚者愛惜費,但為後世嗤。 |
愚者は費を愛惜し、但後世の嗤と為るのみ。 |
仙人王子喬,難可蜿等期。 |
仙人王子喬は、蜿【えん】に期を等しうす可きこと難し。 |
古詩十九首之十五 漢の無名氏(15) 漢詩<102>U李白に影響を与えた詩536 漢文委員会紀頌之の漢詩ブログ1425 |
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古詩十九首之第十六首 |
凜凜歳雲暮,螻蛄夕鳴悲。 |
凛凛として歳云に暮れ、螻蛄【ろうこ】夕に鳴き悲しむ。 |
涼風率已氏C遊子寒無衣。 |
涼風 率【にわ】かに己に氏yはげ】しく、遊子寒くして衣無し。 |
錦衾遺洛浦,同袍與我違。 |
錦衾【きんきん】洛浦【らくほ】に遣【おく】りしも、同抱我と違【たが】へり。 |
獨宿累長夜,夢想見容輝。 |
獨り宿して長夜を累【かさ】ね、夢に想うて容輝を見る。 |
良人惟古歡,枉駕惠前綏。 |
良人古歡【こかん】を惟【おも】ひ、駕を枉【ま】げて前綏【ぜんすい】を恵まる。 |
古詩十九首之十六 漢の無名氏(16)-1 漢詩<103-#1>U李白に影響を与えた詩537 漢文委員会紀頌之の漢詩ブログ1428 |
願得常巧笑,攜手同車歸。 |
願はくは長く巧笑【こうしょう】するを得んと、手を携へ車を同じうして歸る。 |
既來不須臾,又不處重?。 |
既に来りて須臾【しゅゆ】ならず、又重?【ちょうい】に盛らず。 |
亮無晨風翼,焉能?風飛? |
亮【もこと】に晨風【しんふう】の翼無し、蔦【いずく】んぞ能く風を凌いで飛ばん。 |
旁視以適意,引領遙相希。 |
旁視【べんらい】以て意に適【かな】ひ、領【くび】を引いて遙かに相希【のぞ】む。 |
徒倚懷感傷,垂涕沾雙扉。 |
徒倚【しい】して感傷を懐【いだ】き、涕を垂れて雙扉【そうひ】を沾【うるお】す。 |
古詩十九首之十六 漢の無名氏 (16)-2 漢詩<103-#2>U李白に影響を与えた詩538 漢文委員会紀頌之の漢詩ブログ1431 |
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古詩十九首之第十七首 |
孟冬寒氣至,北風何慘栗。 |
孟冬寒気至り、北風何ぞ慘栗たる。 |
愁多知夜長,仰觀?星列。 |
愁多くして夜の表きを知り、仰いで衆星の列るを観る。 |
三五明月滿,四五蟾兔缺。 |
三五明月満ち、四五蟾兔【せんと】缺く。 |
客從遠方來,遺我一書札。 |
客遠方より来り、我に一書札を遣る。 |
上言長相思,下言久離別。 |
上には長く相思ふと言ひ、下には久しく離別すると言ふ。 |
置書懷袖中,三歳字不滅。 |
書を懐袖【かいしゅう】の中に置き、三歳なるも字滅せず。 |
一心抱區區,懼君不識察。 |
一心に區區を抱き、君の識察せざらんことを憤る。 |
古詩十九首之十七 漢の無名氏 (17) 漢詩<104>U李白に影響を与えた詩539 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1434 |
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古詩十九首之第十八首 |
客從遠方來,遺我一端綺。 |
客遠方より乗り、我に一端の綺を遣る。 |
相去萬餘里,故人心尚爾。 |
相去ること萬餘里なるも、故人の心 尚ほ爾り。 |
文彩雙鴛鴦,裁為合歡被。 |
文彩は雙鴛鴦、裁ちて合歓の被と為す。 |
著以長相思,縁以結不解。 |
著するに長相思を以てし、縁とるに結不解を以てす。 |
以膠投漆中,誰能別離此? |
膠を以て漆中に投ぜば、誰か能く此を別離せん。 |
古詩十九首之十八 漢の無名氏(18) 漢詩<106>U李白に影響を与えた詩540 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1437 |
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古詩十九首之第十九首 |
明月何皎皎,照我羅床緯。 |
明月何ぞ皎皎たる、我が羅【うすぎぬ】の床緯【しょうい】を照す。 |
憂愁不能寐,攬衣起徘徊。 |
憂愁して寐【い】ぬる能はず、衣を攬【と】りて起って徘徊【はいかい】す。 |
客行雖雲樂,不如早旋歸。 |
客行楽しと云ふと雖も、早く旋歸【せんき】するに如【し】かじ。 |
出戸獨彷徨,愁思當告誰! |
戸を出でて獨り彷徨【ほうこう】し、愁思當【まさ】に誰にか告ぐべき。 |
引領還入房,涙下沾裳衣。 |
領【くび】を引きて還りて房に入れば、涙下りて裳衣を清す。 |
古詩十九首之十九 漢の無名氏(19) 漢詩<107>U李白に影響を与えた詩541 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1440 |
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